1. リスクリワードの計算方法(手数料あり・なし)
リスクリワード(損益比率)は、1回のトレードで狙う利益が、許容する損失の何倍かを表します。チャート上では「エントリーから利確まで」と「エントリーから損切りまで」の2つの距離の比です。ところが口座に残る金額は違います。ポジションを建てる時と閉じる時に手数料を払い、それは負けトレードでも勝ちトレードでもかかるので、負けはチャートより少し大きく、勝ちは少し小さくなります。
R(手数料前)= |利確価格 − エントリー価格| ÷ |エントリー価格 − 損切り価格|
損失(手数料込み)= |エントリー − 損切り| + エントリー × 新規の料率 + 損切り価格 × 損切りの料率(+損切りと成行の新規のスプレッド)
利益(手数料込み)= |利確 − エントリー| − エントリー × 新規の料率 − 利確価格 × 利確の料率(− 成行の約定のスプレッド)
R(手数料込み)= 利益 ÷ 損失
損益分岐の勝率 = 1 ÷(1 + R)
1トレードの期待値(R)= 勝率 × R −(1 − 勝率)
- 新規の料率
- 成行ならテイカー、板に並ぶ指値ならメイカー
- 損切りの料率
- テイカー(発動した損切りは成行注文)
- 利確の料率
- 利確の方法によりテイカーかメイカー
- R
- リスク1に対するリワード
決済の手数料は決済時の想定元本(数量×決済価格)にかかるので、式には損切り価格と利確価格が入ります。ポジションサイズは打ち消し合い、同じ価格と料率なら100ドルでも100万ドルでもRは同じです。リスク額を入れる欄は金額での期待値を出すためのもので、損切り時の損失が手数料込みでその額になるようにポジションを決めます(英語版のポジションサイズ計算ツールと同じルール)。
2. 計算例:ロングとショート
ロング(チャート上1:2)。エントリー100、損切り99(リスク1%)、利確102(リワード2%)、すべて成行で、ハイパーリキッド+HOLYGRAIL(1回0.0432%)の場合:
- 損切りした時の損失:1%+0.0432%×1+0.0432%×0.99=エントリー時の想定元本の1.086%
- 利確した時の利益:2%−0.0432%−0.0432%×1.02=1.9127%
- 手数料込みのR:1.9127%÷1.086%=1 : 1.76。損益分岐の勝率は33.3%から36.2%に上がります。
- 1回100ドルのリスク、勝率40%なら、期待値は1トレードあたり10.45ドル(手数料なしなら20.00ドル。手数料で期待値が9.55ドル下がります)。ポジションは想定元本で約9,208ドルになり、負けトレード1回の手数料は7.92ドルです。
ショート(チャート上1:2)。エントリー2,500、損切り2,525(1%上)、利確2,450(2%下)。ショートでは損切りがエントリーより上、利確が下になります(方向を切り替えると、ツールが価格をエントリーを軸に反転します)。Binance USDⓈ-Mで成行(テイカー0.05%)なら1 : 1.73で必要勝率は36.7%。ハイパーリキッド+HOLYGRAILで新規と利確を指値(メイカー0.0144%、損切りはテイカー0.0432%)にすると1 : 1.86(34.9%)。ライター Standardでは取引手数料がないので1 : 2.00のままです。
3. 損益分岐の勝率と期待値
勝ちの合計が負けの合計と等しくなるのは、勝率×R=(1−勝率)×1の時です。つまり損益分岐の勝率は1÷(1+R)。これを上回れば期待値はプラスです。1トレードの期待値(R単位)は勝率×R−(1−勝率)で、たとえば勝率40%で1 : 1.75なら0.10R、リスク100ドルあたり10.09ドルです。
| リスクリワード | 必要勝率(手数料なし) | 損切り1%・ハイパーリキッド+HOLYGRAIL(テイカー) | 損切り1%・Binance(テイカー) |
|---|---|---|---|
| 1 : 1.0 | 50.0% | 54.3% | 55.0% |
| 1 : 1.5 | 40.0% | 43.5% | 44.0% |
| 1 : 2.0 | 33.3% | 36.2% | 36.7% |
| 1 : 2.5 | 28.6% | 31.0% | 31.4% |
| 1 : 3.0 | 25.0% | 27.2% | 27.5% |
| 1 : 4.0 | 20.0% | 21.7% | 22.0% |
| 1 : 5.0 | 16.7% | 18.1% | 18.3% |
逆に、ある勝率で損益トントンにするのに必要なRは(1−勝率)÷勝率です。勝率40%なら手数料込みで少なくとも1:1.50が必要です。ツールの1:1〜1:5の表は、あなたの損切り幅・取引所・注文方法でこれを手数料前と手数料込みで並べたものです。
4. 損切りが狭いほど手数料が効く
手数料は想定元本に対する一定の割合ですが、リスクは損切り幅です。損切りが狭いほど、1Rに占める手数料の割合が大きくなります。下の表は、新規・損切り・利確をすべて成行で行う1:2のトレードを、損切り幅ごとに手数料込みの必要勝率で示したものです。
| 取引所(すべてテイカー) | 損切り0.1% | 損切り0.25% | 損切り0.5% | 損切り1% | 損切り2% |
|---|---|---|---|---|---|
| ライター Standard | 33.3% 1 : 2.00 | 33.3% 1 : 2.00 | 33.3% 1 : 2.00 | 33.3% 1 : 2.00 | 33.3% 1 : 2.00 |
| アスター(VIP 1) | 60.0% 1 : 0.67 | 44.0% 1 : 1.27 | 38.7% 1 : 1.59 | 36.0% 1 : 1.78 | 34.7% 1 : 1.88 |
| ハイパーリキッド+HOLYGRAIL | 62.1% 1 : 0.61 | 44.9% 1 : 1.23 | 39.1% 1 : 1.56 | 36.2% 1 : 1.76 | 34.8% 1 : 1.88 |
| ハイパーリキッド(コードなし) | 63.3% 1 : 0.58 | 45.3% 1 : 1.21 | 39.3% 1 : 1.54 | 36.3% 1 : 1.75 | 34.8% 1 : 1.87 |
| エッジエックス(Regular) | 63.3% 1 : 0.58 | 45.3% 1 : 1.21 | 39.3% 1 : 1.54 | 36.3% 1 : 1.75 | 34.8% 1 : 1.87 |
| Binance USDⓈ-M(参考) | 66.7% 1 : 0.50 | 46.7% 1 : 1.14 | 40.0% 1 : 1.50 | 36.7% 1 : 1.73 | 35.0% 1 : 1.86 |
| Bybit(参考) | 70.0% 1 : 0.43 | 48.0% 1 : 1.08 | 40.7% 1 : 1.46 | 37.0% 1 : 1.70 | 35.2% 1 : 1.84 |
手数料がなければ、どのセルも33.3%(1:2)です。計算はツールと同じモジュール。料率の確認日は下の出典に記載しています。
損切り2%なら取引所の差はほとんどありません。0.25%になると、その手法が成り立つかどうかを取引所が決めます。Bybitのテイカー0.055%では1:2が1 : 1.08に縮みますが、ライター Standard(テイカー0%)なら1 : 2.00です。取引所選びと同じくらい効く習慣が2つあります。新規を板に並ぶ指値(メイカー。アスターは0%、ハイパーリキッドはHOLYGRAILで0.0144%)にすること、そして利確を成行のトリガーではなく指値にすることです。スキャルピングの型と手数料の損益分岐は仮想通貨スキャルピング手法、取引所の比較はスキャルピング向けDEXで詳しく解説しています。
5. 計算に使っている手数料のルール
| 取引所 | テイカー | メイカー | 損切り時のコスト(損切り1%・テイカー) | 補足 |
|---|---|---|---|---|
| ハイパーリキッド+HOLYGRAIL | 0.0432% | 0.0144% | 0.086% | ティア0×(1−4%)。累計取引高の最初の2,500万ドルまで。同じ口座で取引するアプリ経由(ビルダーコード付き)の注文にも適用 |
| ハイパーリキッド(コードなし) | 0.045% | 0.015% | 0.0896% | ティア0(14日出来高500万ドル以下) |
| ライター Standard | 0% | 0% | 0% | 標準口座。全銘柄で手数料無料 |
| ライター Premium | 0.028% | 0.004% | 0.0557% | 任意で切替。LITステークでさらに割引(未反映) |
| アスター(VIP 1) | 0.04% | 0% | 0.0796% | Crypto General銘柄。メイカーはどのVIPでも無料 |
| エッジエックス(Regular) | 0.045% | 0.04% | 0.0896% | Regular。メイカーとテイカーの差が小さい |
| Binance USDⓈ-M(参考) | 0.05% | 0.02% | 0.0995% | 一般ユーザー(USDT払い) |
| Bybit(参考) | 0.055% | 0.02% | 0.1094% | Non-VIP |
- 損切りはテイカー。ハイパーリキッドのTP/SL注文はマーク価格で発動し、成行か、指定した指値で発注されます。指値の損切りは、価格が飛ぶと約定せずに板に残ることがあります(公式ドキュメントの例)。成行のTP/SLは最大10%のスリッページを許容します。確実に逃げるための損切りは板の注文を取る側になるので、このツールは常にテイカーの料率で計算します。
- ハイパーリキッド+HOLYGRAIL。4%の割引は口座の累計取引高の最初の2,500万ドルまで、テイカーとメイカーの両方に適用されます。紹介割引はビルダーコード付きのアプリ経由の注文にも適用されます(2026年10月1日にメインネットの約定で確認)。アプリ側のビルダー手数料は別にかかります。累計取引高が2,500万ドルを超えると、手数料ティアにかかわらず割引は終わります。このツールはティア0で計算します。ティア別の料率はハイパーリキッド手数料計算ツールへ。
- ライター Standardは先物・現物ともメイカー・テイカー手数料がかかりません。Premiumは低遅延の代わりにテイカー0.0280%です。
- Binance・Bybitは参考として初期ティアの料率を表示しています。当サイトとの紹介関係はありません。日本居住者が海外の取引所やDEXを使う場合の注意点は日本からDEXを使う方法にまとめています。
出典(公式ページと最終確認日)
- app.hyperliquid.xyz/referrals (2026年10月19日確認)
- docs.asterdex.com/trading/perpetuals/fees-and-specs/fees (2026年10月19日確認・2項目)
- docs.lighter.xyz/trading/trading-fees (2026年10月19日確認・4項目)
- hyperliquid.gitbook.io/hyperliquid-docs/referrals (2026年10月19日確認・2項目)
- hyperliquid.gitbook.io/hyperliquid-docs/trading/fees (2026年10月1日確認・3項目)
- hyperliquid.gitbook.io/hyperliquid-docs/trading/take-profit-and-stop-loss-orders-tp-sl (2026年10月1日確認・2項目)
- pro.edgex.exchange/vip (2026年10月14日確認・2項目)
- binance.com/en/fee/futureFee (2026年10月15日確認・2項目)
- bybit.com/en/announcement-info/fee-rate (2026年10月15日確認・2項目)
6. このツールで計算しないもの
- ファンディング。無期限先物は保有中にファンディングを払う(または受け取る)ことがあります。スキャルピングなら無視できる額ですが、数日持つスイングでは手数料より大きくなることもあります。手数料計算ツールで計算できます。
- スリッページと窓開け。急変時には成行の損切りが発動価格より不利に約定することがあり、指値の損切りは価格が飛ぶと約定せずに残ることがあります。スプレッド欄は1回の約定ごとに一定の上乗せをするだけで、実際のスリッページは毎回違います。
- マーク価格とチャートの価格。ハイパーリキッドのTP/SLはマーク価格で発動し、チャートの最終約定価格とずれることがあります。
- 本当の勝率。期待値は入力した勝率の精度しだいです。バックテストの一番よい数字ではなく、自分のトレード記録の勝率を使ってください。損切りをずらす、利益を早く確定してしまうといった心理面の癖は、勝率とRの両方を変えます(トレード心理の解説)。
- レバレッジと清算。リスクリワードはレバレッジに左右されませんが、損切りより先に清算されないかはレバレッジで決まります。ロスカット計算ツールで確認してください。
結果は計画のための試算で、投資助言ではありません。手数料は変わることがあり、各料率の確認日は上の出典に記載しています。